相続は「やらなければならない」と分かっていても、
気持ちの整理がつかない、何から手を付ければいいか分からないといった理由で、
手続きを後回しにしてしまうケースは少なくありません。
しかし、相続手続きを放置すると、時間が経つほど不利になるリスクがいくつもあります。
本記事では、相続手続きを放置した場合に起こりやすい代表的なリスクと、
ここだけは注意したいポイントを整理して解説します。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事情については専門家への相談を
おすすめします。
相続手続きを放置してしまう主な理由
相続手続きが放置されやすい背景には、次のような事情があります。
- 何から始めればいいか分からない
- 手続きが複雑そうで気が重い
- 相続人同士で話し合いが進まない
- 財産が少ないと思い込んでいる
- 期限がある手続きがあることを知らない
特に「急がなくても大丈夫だろう」と考えてしまう点が、
後々のトラブルにつながりやすいポイントです。
リスク① 相続放棄ができなくなる可能性
相続には「相続放棄」という選択肢がありますが、
原則として相続開始を知った日から3か月以内という期限があります。
手続きを放置している間に、
- 借金や保証債務の存在に気づく
- 財産調査が遅れる
といった状況になると、放棄したくても期限を過ぎてしまう可能性があります。
期限後でも例外的に認められるケースはありますが、
基本的には「早めの判断」が重要です。
リスク② 不動産の名義が変更できず問題が拡大する
相続財産に不動産が含まれる場合、名義変更(相続登記)をしないまま放置すると、
次のような問題が起こりやすくなります。
- 不動産を売却できない
- 担保に入れられない
- 次の相続が発生して権利関係が複雑化する
兄弟が亡くなり、その子供(甥・姪)や再婚相手など、面識のない親族が法定相続人として加わり
その全員の合意が必要になる場面が増えるなど、解決が難しくなる傾向があります。
また、2024年4月から「相続登記」が義務化され、正当な理由なく放置すると過料の対象と
なる場合もあります。
リスク③ 預貯金が長期間引き出せない
被相続人の預貯金口座は、原則として凍結されます。
相続手続きを行わない限り、
- 生活費や葬儀費用に充てられない
- 相続人間での分配が進まない
といった状態が続きます。
とりあえずカードで下ろせばいいと考えるのは危険です。
他の相続人とトラブルになったり、最悪の場合、銀行から不適切な引き出しと
見なされる場合があります。
一部の金融機関では仮払い制度がありますが、最終的な解決には正式な相続手続きが必要です。
リスク④ 相続人同士のトラブルに発展しやすくなる
相続手続きを放置している間に、
- 記憶があいまいになる
- 当事者の認識にズレが生じる
- 感情的なしこりが残る
といったことが起こりやすくなります。
当初は問題がなかった関係でも、
時間の経過とともに「なぜ進めないのか」「勝手に使っていないか」など、
不信感が生まれるケースは珍しくありません。
リスク⑤ 税金や管理コストが増える可能性
相続税が発生する場合、申告・納付には期限(死亡から10ヶ月以内)があります。
手続きを放置すると、
- 申告期限を過ぎて加算税や延滞税が発生
- 空き家や土地の管理費用がかかり続ける
といった金銭的負担が増える可能性があります。
放置することでコストが積み重なる点には注意が必要です。
まとめ|相続手続きは「放置しない」が最大のリスク対策
相続手続きを放置すると、
- 選択肢が狭まる
- 手続きが複雑になる
- 人間関係や費用面の負担が増える
といったリスクが積み重なります。
「まだ大丈夫」と思っている間に、
できなくなることが増えていきます。
財産目録の作成や、戸籍謄本の収集など、現状を把握することから始めましょう。
